内部監査の品質評価とは?重要性・評価基準・実施方法を徹底解説!
- 敏行 鎌田
- 2月27日
- 読了時間: 6分
内部監査の品質評価は、監査の有効性や信頼性を向上させるために不可欠なプロセスです。企業が適切なガバナンスを維持し、リスク管理やコンプライアンスを強化するためには、監査の品質を定期的に評価し、改善を続けることが求められます。
本記事では、内部監査の品質評価の目的、評価基準、具体的な実施方法、メリット・デメリット について詳しく解説します。
目次
内部監査の品質評価とは?
内部監査の品質評価の目的
内部監査の品質評価が重要な理由
内部監査の品質評価の種類
内部監査の品質評価の主な基準
内部監査の品質評価の実施方法
内部監査の品質評価を導入するメリットとデメリット
まとめ|内部監査の品質を高めるポイント
内部監査の品質評価とは?
内部監査の品質評価とは、企業の内部監査が適切な基準に従い、効果的に機能しているかをチェックするプロセスのことです。これにより、内部監査の精度や信頼性を高め、企業全体のリスク管理やコンプライアンス強化につなげることができます。
内部監査の品質評価の目的
内部監査の品質評価を行うことで、以下のような目的を達成できます。
監査の有効性を向上させる
監査の手法やプロセスが適切に実施されているかを検証し、改善する。
リスク管理の強化
企業が抱えるリスクを的確に把握し、監査を通じて適切に対処できるか確認する。
コンプライアンスの確保
法令や社内ルールに準拠しているかを定期的に評価し、企業の透明性を向上させる。
ステークホルダーの信頼を確保
経営層や株主、取引先などに対して、適切な監査が行われていることを示し、企業の信頼性を高める。
内部監査の品質評価が重要な理由
内部監査の品質が低いと、以下のような問題が発生する可能性があります。
リスク管理の不備 → 不正や法令違反を見逃す
監査結果の信頼性低下 → 経営層が監査報告を正しく活用できない
コンプライアンス違反 → 規制の変更に対応できない
品質評価を行うことで、監査の精度を向上させ、企業の信頼性を確保することができます。
内部監査の品質評価の種類
内部監査の品質評価は、大きく 「内部評価」 と 「外部評価」 に分かれます。
① 内部評価
組織内の監査部門が実施する自己評価。
継続的モニタリング:日常的な監査活動の見直し
定期的レビュー:年1回など定期的な監査品質のチェック
② 外部評価
第三者の専門家が監査品質を評価。
フル外部評価:外部監査法人やコンサルタントが全面的に評価
自己評価+独立検証(SAIV):企業が自己評価を行い、外部の専門家が検証

内部監査の品質評価の主な基準
内部監査の品質を評価する際に、国際基準・ISO規格・企業独自の基準 などが活用されます。主な基準は以下の通りです。
① 国際基準(IIA基準)
IIA(国際内部監査人協会)が定める「グローバル内部監査基準™」 に基づいて評価を行います。この基準は、世界中の企業で活用されており、内部監査の品質評価において最も一般的な基準です。
IIA基準の主なポイント
✅ 監査の独立性と客観性の確保(組織内で独立した立場を維持しているか)
✅ リスクベースの監査の実施(企業のリスクに応じた監査が行われているか)
✅ 監査計画の適切性(適切な監査計画が策定・実施されているか)
✅ 監査報告の信頼性(経営層や取締役会に対して適切に報告されているか)
✅ フォローアップの実施(監査結果に基づいた改善が行われているか)
② ISO 9001 / ISO 19011(監査のガイドライン)
ISO規格も内部監査の品質評価でよく使用される基準です。特に、以下の2つのISO規格が関連します。
ISO 9001(品質マネジメントシステム)
企業の品質管理(QMS)に関する国際基準
内部監査のプロセスや報告の適正性を評価する際に活用される
ISO 19011(監査のガイドライン)
監査の計画・実施・報告・フォローアップに関するガイドライン
監査員の力量(スキル・資格)や監査の手順が適切かどうかを判断する基準
ISO基準の主なポイント
✅ 監査手法の標準化(監査プロセスがISO基準に準拠しているか)
✅ 監査報告の透明性(監査の結果が適切に記録・報告されているか)
✅ 監査員の適格性(監査を担当する人のスキルや資格が適正か)
③ 企業独自の品質評価基準
企業によっては、内部監査の成果をより具体的に測定するために、独自の評価基準(KPI)を設定 している場合があります。
主なKPI(評価指標)
✅ リスク検出率(リスクがどれだけ正確に特定されているか)
✅ 改善提案の実行率(監査で指摘された問題がどれだけ改善されているか)
✅ 監査報告の精度(経営層が監査報告を適切に活用できているか)
✅ 監査のフィードバック活用率(監査結果を業務改善にどれだけ活かせているか)
基準の種類 | 主な内容 | 活用ポイント |
国際基準(IIA基準) | 内部監査の独立性・リスク管理・報告の適正性を評価 | 内部監査の信頼性向上、グローバル基準への適合 |
ISO規格(ISO 9001 / ISO 19011) | 監査手順・監査員のスキル・報告の透明性を評価 | 監査の標準化、品質管理の向上 |
企業独自の評価基準(KPI) | 監査の成果や改善効果を数値化して評価 | 監査の実効性を高め、業務改善につなげる |
内部監査の品質評価の実施方法
内部監査の品質評価は、以下の手順で進めます。
ステップ①:評価計画の策定
目的の明確化:「監査の有効性向上」「リスク管理の強化」など
評価範囲の決定:「特定の監査手順」「監査全体」
ステップ②:データ収集
監査レポートや監査計画の分析
監査担当者・経営層へのヒアリング
ステップ③:監査プロセスの評価
監査の独立性:監査部門が影響を受けずに運営されているか?
リスク管理の適正性:重要リスクを適切に評価できているか?
監査結果の活用状況:経営層や業務部門が監査結果を活かしているか?
ステップ④:改善提案の作成
監査手順の見直し
報告フォーマットの改善
監査結果のフィードバックプロセス強化
内部監査の品質評価を導入するメリットとデメリット
メリット
✅ 監査の精度向上 → 不正・ミスの検出率が向上
✅ 経営層との連携強化 → 監査結果が経営判断に活かされる
✅ ガバナンスの強化 → 社内のルールが適切に運用される
デメリット
❌ リソースの負担 → 社内で評価を行う場合、工数が増える
❌ 外部評価のコスト → 外部専門家の依頼には費用がかかる
7. まとめ|内部監査の品質を高めるポイント
✅ 定期的な評価を実施し、監査手順の見直しを行うことが重要!
✅ IIA基準やISO規格を活用し、監査の質を客観的に評価する!
✅ 監査部門だけでなく、経営層や業務部門との連携を強化する!
内部監査の品質評価は、企業の成長とリスク管理に直結する重要なプロセスです。継続的な品質向上を目指し、より効果的な監査を実現しましょう!