top of page

業務監査と内部監査の違いについて。簡単に図解付きで徹底解説。

業務監査と内部監査は、それぞれ企業の健全な運営と持続的成長を支える重要な機能です。それらの監査は、組織の業務プロセスや内部統制の有効性を評価し、改善点を明らかにすることで、リスクの軽減や業務効率の向上を図ります。

本記事では、業務監査と内部監査の定義、目的、実施手順、確認項目、注意点について詳しく解説します。


目次


業務監査と内部監査の定義

まず初めに、業務監査と内部監査についての説明を下記にて行います。


業務監査とは

業務監査とは、内部監査の取り組みの一つで、企業等組織の会計業務以外の業務活動、すなわち組織や制度、業務手順などに対する監査を指します。具体的には、業務手順の整備状況や運用状況が適切かを評価し、業務の有効性や効率性を改善することを目的としています。


内部監査とは

内部監査とは、企業内部の独立した組織(内部監査部門や監査役等)が、財務会計や業務の仕組みなどについて調査・評価し、報告と改善策の提案を行う活動です。その目的は、企業の目標達成に向けて、業務が効率的かつ適切に実施されているかを確認し、改善することにあります。


内部監査と業務監査の違い

業務監査と内部監査の目的の違い

業務監査の目的

  • 業務手順の整備状況の評価

    規程や業務マニュアルが適切に整備され、関係者に周知されているかを確認します。

  • 業務手順の運用状況の評価

    規定や業務マニュアルが正しく理解され、実際の業務が手順通りに遂行されているかを確認します。

これらの評価を基に、業務の有効性や効率性を確認し、必要に応じて改善指導を行います。


内部監査の目的

  • 不正防止/リスク軽減

    業務の適切な運用を確認し、不正行為や業務エラーを未然に防ぐこと。

  • 目標達成のための改善策の提示

    企業の目標達成のための問題点を発見し、課題の解決につなげるための改善策を提案する。

  • 業務効率化の向上

    業務上の無駄なプロセスを削減し、業務の効率性を高めることを目指します。

内部監査の目的は業種やスコープなどによって多岐にわたりますが、主なものは上記です。これらを通じて、企業の健全な成長と発展を目指します。


業務監査と内部監査の違い

どちらの監査も目的や対象範囲において異なりますが、互いに補完的な関係にあります。以下に主要な違いをまとめます。


業務監査

内部監査

対象範囲

特定の業務プロセスや部門

組織全体のガバナンス、リスク管理、内部統制

目的

業務効率の向上、プロセス改善

組織の健全性確保、リスク軽減、法令遵守

実施主体

業務部門や外部コンサルタント

独立した内部監査部門

評価基準

業務手順の整備状況や運用状況

リスク評価、内部統制の有効性、経営目標達成の支援

頻度と期間

必要に応じて実施

定期的(年次計画に基づく)


業務監査と内部監査の種類

業務監査の種類

業務監査は、監査の対象や目的に応じて以下のような種類が主です。

  • 部門監査

    特定の部門や部署の業務活動を対象とし、その有効性や効率性を評価します。

  • テーマ別監査

    特定のテーマや課題に焦点を当て、関連する業務プロセスや手順を評価します。

  • 経営監査

    経営全般の方針や戦略、組織体制などを評価し、経営目標の達成状況を確認します。


内部監査の種類

内部監査は、以下のような種類があります。

  • 財務監査

    財務報告の正確性や適切性を評価します。

  • 業務監査

    業務活動や組織体制、規則の適切性を評価します。

  • システム監査

    情報システムの信頼性や有効性を評価します。

  • ISO監査

    ISO規格に基づく業務の適合性を評価します。

これらの監査を通じて、組織の内部統制やリスク管理の有効性を確認します。


業務監査と内部監査の実施手順

業務監査の実施手順

業務監査は、主に以下の手順で実施されます。

  1. 監査計画の策定

    監査の目的や範囲、スケジュールを明確にします。

  2. 予備調査の実施

    監査対象の業務内容や関連資料を収集・分析します。

  3. 本調査の実施

    現場でのヒアリングや観察、資料の検証を行い、業務手順の整備状況や運用状況を評価します。

  4. 監査結果の分析

    • 収集したデータや証拠を基に、業務プロセスの有効性や効率性を分析します。

    • 不足や改善が必要な点を明確化します。

  5. 報告書の作成

    • 監査の結果をまとめ、経営陣や関連部門に分かりやすく報告します。

    • 必要に応じて具体的な改善提案を含めます。

  6. フォローアップの実施

    • 提案した改善策が適切に実施されているかを確認します。

    • 改善後の状況を追跡し、追加の課題がないかを評価します。


内部監査の実施手順

内部監査は、主に以下の手順で進められます。

  1. 監査計画の策定

  2. リスク評価と範囲の決定

    • 組織全体のリスクを評価し、特に影響が大きい領域を重点的に監査します。

  3. 監査の実施

    • 文書レビューやヒアリング、データ分析を通じて、内部統制や業務プロセスの有効性を評価します。

  4. 監査報告の作成

  5. 改善活動の支援とモニタリング

    • 提案した改善策の実施状況を定期的に確認し、さらなるリスクを予防します。



業務監査と内部監査のメリット

業務監査のメリット

  1. 業務プロセスの最適化

    • 無駄な手順や非効率を発見し、業務効率を向上させます。

  2. 部門間のコミュニケーション促進

    • 他部門との連携を深めることで、全体的なパフォーマンスが向上します。

  3. コンプライアンス強化

    • 各業務が法令や社内規定に準拠しているかを確認することで、リスクを低減します。


内部監査のメリット

  1. リスクの早期発見

    • 不正や誤謬を未然に防ぎ、損害を最小限に抑えることができます。

  2. 企業の透明性向上

    • 外部ステークホルダーに対する信頼性を高め、株主や投資家に安心感を与えます。

  3. 持続的な改善文化の醸成

    • 継続的な監査を通じて、組織全体で改善意識を根付かせることが可能です。


具体的な業務監査手法

1. リスクベース監査

  • 概要: リスクの高い領域に重点を置いて監査を実施します。

  • 利点: 限られたリソースを効率的に活用し、最も重要な課題に集中できます。


2. データ分析の活用

  • 概要: ビッグデータや分析ツールを活用して、異常な取引やパターンを検出します。

  • 活用例: 売上データの不整合や不正経費の洗い出し。


3. フィールドワーク

  • 概要: 実際の現場で業務プロセスを観察し、手順の適正性を確認します。

  • 利点: 理論上の手順と現場の実態との差異を直接把握できます。


業務監査を効率化するチェックリスト

業務監査を効率化するには、業務監査を行っている企業が出しているチェックリストを活用しましょう。

例えば、株式会社ハイファイが出している内部監査簡易診断チェックリストなどは汎用的でおすすめです。

株式会社ハイファイの内部監査簡易診断チェックリスト

おすすめの業務監査に役立つツール5選

以下に、業務監査に役立つおすすめのツールを紹介します。各ツールの特徴や機能を比較し、自社に最適なものを選定しましょう。

1.QAIVA

  • 特徴

    監査をコアビジネスにする株式会社ハイファイの開発しているBIツールです。低価格で直感的な操作ができることが大きな特徴です。

  • 主な機能

    • レポート作成機能

    • 複数データ突合機能(CSV)

    • データ分析機能

  • メリット

    低価格かつ、シンプルで使いやすいUIのBIツールです。膨大な量のデータでもスムーズに取り込み、編集が可能で、レポートの作成も可能です。

  • デメリット

    標準テンプレートがなく、ハイファイの内部監査コンサルタントと利用用途に合わせたカスタマイズが必須なため、初期構築に時間がかかる。


2. Diligent

  • 特徴

    監査管理機能や内部統制管理に関する機能が充実しているGRCプラットフォームです。ダッシュボード上で監査および改善の状況をリアルタイムで可視化できます。

  • 主な機能

    • 監査計画の策定

    • リスク評価と管理

    • コンプライアンス管理

    • レポート作成

    • ワークフロー管理

  • メリット

    戦略的に優先度の高いリスクに監査を集中させ、改善の取り組みを追跡できます。KPIやKRIの監視機能も備えています。

  • デメリット

    多機能ゆえに、初期設定や操作に慣れるまで時間がかかる可能性があります。


3. SAP GRC

  • 特徴

    大企業向けのGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)ツールで、内部監査に必要な機能を網羅しています。特にERPシステムとの連携が強みです。

  • 主な機能

    • 内部監査プロセスの自動化

    • リスクとコントロールの管理

    • 規制遵守のモニタリング

    • レポート作成機能

  • メリット

    大規模なデータを扱う企業に適しており、他のSAP製品との連携で効率的な業務が可能。

  • デメリット

    初期導入コストが高く、中小企業にはコスト面で負担が大きい場合があります。


4. AuditBoard

  • 特徴

    内部監査に特化したプラットフォームで、プロジェクト管理や監査結果の可視化に強みを持っています。

  • 主な機能

    • 監査タスクの自動化

    • 内部統制の強化

    • コラボレーションツール

    • レポートの自動生成

  • メリット

    操作がシンプルで導入がスムーズ。継続的な監査プロセスを簡略化できます。

  • デメリット

    機能が監査業務に特化しているため、リスク評価全般には向かない場合もあります。


5. ACL Robotics

  • 特徴

    データ分析と自動化に特化した内部監査ツールで、大量のデータを扱う業務に最適です。

  • 主な機能

    • リスク検出アルゴリズム

    • データ統合と分析

    • 異常検知とレポート作成

    • 自動化された監査手順

  • メリット

    データドリブンの監査を実現し、不正やリスクを効率的に発見できる。

  • デメリット

    分析ツールとしての利用が中心で、ユーザーにある程度のデータスキルが求められる。


業務監査の成功事例

1. 製造業での効率化

  • 課題: 在庫管理が煩雑でコストが増大していた。

  • 解決策: 業務監査で在庫管理システムを見直し、適切な基準を導入。

  • 結果: 在庫コストが20%削減。


2. サービス業でのコンプライアンス強化

  • 課題: 複数店舗での法令違反リスクが顕在化していた。

  • 解決策: 業務監査で店舗の業務フローを統一化。

  • 結果: 違反件数が50%減少。


まとめ

業務監査と内部監査は、それぞれ異なる視点で企業の課題を分析し、改善を支援する重要な活動です。どちらも適切に活用することで、企業全体の透明性と効率性を向上させることができます。

監査の計画から実施、改善提案まで一貫して行うことで、組織のリスクを軽減し、持続可能な成長を実現しましょう。これからの時代において、監査の戦略的な活用は、企業競争力の源泉となるでしょう。

ご意見などお気軽にお寄せください

メッセージが送信されました。

© 2024 consaru.net

bottom of page