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【専門解説】内部監査における職業倫理規定とは?信頼性を支える倫理と実務対応

目次

  1. 内部監査における職業倫理規定とは?

  2. なぜ内部監査に職業倫理規定が必要か

  3. 内部監査に求められる4つの倫理原則

  4. 内部監査人に求められる具体的行動例

  5. 職業倫理違反がもたらすリスク

  6. 内部監査部門における倫理遵守体制の整備

  7. まとめ


内部監査における職業倫理規定とは?

内部監査における職業倫理規定(Code of Ethics)は、内部監査人が職務を遂行する際に遵守すべき基本的な倫理的行動基準を定めたものです。

IIA(国際内部監査人協会)が策定するこの規定は、内部監査活動の信頼性、独立性、透明性を保証し、組織に対して高い付加価値を提供するための基盤となっています。


なぜ内部監査に職業倫理規定が必要か

内部監査は、経営層および監査委員会に対して、リスク管理、内部統制、ガバナンスの有効性に関する独立した保証と助言を提供する役割を担います。このため、監査人自身が高い倫理基準を遵守しなければ、監査結果の客観性と信頼性が損なわれ、組織全体のガバナンス体制にも悪影響を及ぼします。倫理規定の遵守は、内部監査が経営に対して信頼されるパートナーであり続けるために不可欠です。


内部監査に求められる4つの倫理原則


内部監査に求められる4つの倫理原則

誠実性(Integrity)

内部監査人は常に高潔さを保持し、正直かつ公平に行動しなければなりません。組織または個人の利益のために結果を歪めることは許されず、真実を正確に伝える責任があります。


客観性(Objectivity)

内部監査人は個人的な利害関係やバイアスを排除し、事実に基づいた独立した判断を下さなければなりません。監査対象部門との過度な関係性を持つことや、自己の判断に影響を及ぼす状況に陥ることを避けるべきです。


機密保持(Confidentiality)

内部監査人は、職務上知り得た機密情報を適切に管理し、不正に開示してはなりません。さらに、取得した情報を個人的利益のために利用することは禁止されています。


能力(Competency)

内部監査人は、自らの職務を効果的に遂行するために必要な知識、技能、および経験を有していなければなりません。継続的な専門知識の向上と自己研鑽が求められます。


内部監査人に求められる具体的行動例

  • 利害関係を開示し、監査対象に関する偏見を排除する

  • 証拠に基づき、事実を歪曲せずに報告書を作成する

  • 監査中に知った経営上の機密情報を第三者に漏洩しない

  • 未知の分野においては、専門家の助言を受けるなどして専門性を確保する


職業倫理違反がもたらすリスク

  • 信用失墜

    監査部門及び組織全体の信用が失われる

  • 法的リスク

    機密漏洩、不正隠蔽による法的責任の追及

  • 資格停止・剥奪

    CIAやCRMAなどの内部監査資格の取り消し

  • 組織内部統制への悪影響

    ガバナンス体制の弱体化


内部監査部門における倫理遵守体制の整備

  • 倫理行動規範(Internal Audit Code of Conduct)の策定と徹底

  • 倫理研修(Ethics Training)の定期実施

  • 利害関係開示制度(Conflict of Interest Disclosure)の導入

  • 匿名通報制度(Whistleblower System)の設置と運用

  • 内部監査活動に対する定期的な品質評価(QAIP)


まとめ

職業倫理は、内部監査の独立性・客観性・信頼性を支える不可欠な柱です。単なる遵守義務にとどまらず、内部監査人自身の職業的価値を高め、組織の持続的成長を支援するための戦略的基盤でもあります。内部監査人一人ひとりが、高い倫理意識と専門性を持って行動することが、組織の信頼性向上とガバナンス強化に直結します。


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