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ISO 9001について、実施方法から手順、他ISO規格との違いまで簡単に徹底解説

目次

  1. そもそもISO規格とは

  2. ISO 9001内部監査の基本概念

  3. 内部監査の計画策定

  4. 内部監査の準備(チェックリスト作成)

  5. 内部監査の実施手順

  6. 不適合の特定と分類

  7. 内部監査報告書の作成

  8. 監査結果のフィードバックと是正措置

  9. 内部監査員の育成とスキル向上

  10. 内部監査のデジタル化と最新トレンド


そもそもISO規格とは

ISO規格(International Organization for Standardization)とは、国際標準化機構(ISO)が制定する国際的な基準のことです。製品やサービス、システム、プロセスの品質・安全性・効率性を向上させるために策定されます。



ISO 9001内部監査の基本概念

ISO 9001における内部監査の役割

ISO 9001の内部監査は、企業が品質マネジメントシステム(QMS)を適切に運用し、継続的な改善を行うための仕組みです。企業内部で監査を実施することで、プロセスの適合性や有効性を評価し、改善点を特定します。


他のISO規格との関係

ISO 9001の内部監査の概念は、他のISO規格とも密接に関係しています。特に、統合マネジメントシステム(IMS:Integrated Management System)を導入する企業では、複数のISO規格を統合して監査を実施するケースが増えています。

以下に、ISO 9001と関連する主なISO規格との関係を説明します。

規格名

対象分野

内部監査のポイント

ISO 14001(環境マネジメント)

環境保護、持続可能性

環境影響評価、法令遵守、廃棄物管理、エネルギー削減

ISO 45001(労働安全衛生)

労働者の安全、職場環境の改善

労働災害リスク管理、安全対策の実施、従業員の健康管理

ISO 27001(情報セキュリティ)

情報資産の保護、サイバーセキュリティ

データ保護、アクセス管理、セキュリティ対策の適用

ISO 22000(食品安全)

食品の安全性、HACCPの管理

食品衛生管理、異物混入防止、トレーサビリティ

ISO 13485(医療機器)

医療機器の品質・安全性

医療機器のリスク管理、法規制対応、品質保証

ISO 50001(エネルギーマネジメント)

エネルギー効率、持続可能な経営

エネルギー消費量の最適化、CO2排出量管理


内部監査と外部監査(認証審査)の違い

項目

内部監査

外部監査(認証審査)

実施者

自社の監査員

認証機関

目的

適合性・改善点の特定

認証の取得・維持

結果

改善に活用

認証の可否が決定


内部監査を行わない場合のリスク

  • 品質不良の発生 → 顧客満足度の低下

  • 規格不適合 → 認証剥奪の可能性

  • 業務の非効率化 → コスト増大

  • 法的リスク → コンプライアンス違反の可能性


内部監査の計画策定

監査計画の必要性とISO 9001の要件

内部監査は体系的に計画されなければ、効果を最大化できません。ISO 9001では、リスクベースのアプローチに基づき、重要なプロセスを優先的に監査することが推奨されています。


年間監査計画の作成方法(リスクベースアプローチ)

監査計画を立てる際には、以下の点を考慮します。

  • 業務の重要度

  • 過去の監査結果

  • 不適合の発生頻度

  • 法的・顧客要求事項の影響度


監査員の割り当てとチーム編成

内部監査員は、監査の公平性を保つため、自身の所属部門以外の監査を担当することが望ましいです。また、IT・品質管理・製造などの専門知識を持つ監査員を適材適所に配置することで、効果的な監査が可能になります。


内部監査の準備(チェックリスト作成)

チェックリスト作成のポイント

  • ISO 9001の要求事項を反映

  • 業務プロセスごとの質問を作成

  • 過去の監査結果を活用

  • リスク視点での質問設定


監査質問例

プロセス

質問例

品質管理

製品・サービスが顧客要求に適合しているか?

記録管理

品質記録が適切に保管・管理されているか?


内部監査の実施手順

監査の進め方

  1. オープニングミーティング(監査目的と進行概要を説明)

  2. ドキュメント監査(規程・手順書・記録の確認)

  3. 現場監査(実際の業務の観察)

  4. インタビュー(担当者への質問)

  5. クロージングミーティング(監査結果の速報)


監査対象部門の負担を最小限にするコツ

  • 監査スケジュールを事前に通知

  • 簡潔かつ的確な質問を行う

  • 監査中の協力姿勢を重視


不適合の特定と分類

不適合(Nonconformity)とは、ISO規格などの要求事項に対して、実際の状況が基準を満たしていない状態を指します。不適合を特定し、適切に分類することで、企業や組織の品質や業務の改善が可能になります。


重大度による分類

種類

内容

重大不適合(Major Nonconformity)

規格や法令違反、または業務の根幹に関わる問題。業務継続に影響を与えるレベルの不適合。

軽微不適合(Minor Nonconformity)

業務に影響はあるが、致命的ではなく、部分的な改善で対応可能な不適合。

観察事項(Observation)

直接の不適合ではないが、今後不適合につながる可能性のある事項。改善が推奨されるが、必須ではない。


発生原因による分類

種類

内容

手順の未遵守

作業手順書やマニュアルに従っていない

文書・記録の不備

必要な記録が欠落している、または誤記がある

教育・訓練不足

従業員が適切なトレーニングを受けていないため、ミスが発生

設備・機器の不具合

製造機器やITシステムの故障による不適合

管理不足

責任者の監督不足、チェック体制の不備


発生タイミングによる分類

種類

内容

設計段階の不適合

製品やシステムの設計ミスが原因

製造・施工段階の不適合

製造・施工過程で発生するエラー

流通・運用段階の不適合

製品の輸送・保管・使用時に発生する問題


不適合の対応プロセス

不適合が発生した場合、以下の手順で対応します。

  1. 不適合の記録

    • どの規格や基準に違反しているかを明確にする

    • 不適合報告書を作成する


  2. 原因分析

    • 5 Whys(なぜなぜ分析)

    • 特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)

    • FMEA(故障モード影響分析)


  3. 是正措置(Corrective Action)

    • 根本原因を排除するための対策を立て、実行


  4. 予防措置(Preventive Action)

    • 同様の不適合が発生しないように、継続的改善を行う


  5. フォローアップ

    • 改善策が有効であるかを監査やレビューで確認する


ISO 9001の不適合に対する対応プロセス

内部監査報告書の作成

報告書の構成

  1. 監査の概要

  2. 監査結果の詳細

  3. 不適合・改善提案

  4. 是正措置計画

  5. 監査員のサイン


監査結果の要点を簡潔にまとめる方法

  • 事実ベースで記述

  • 数値データを活用

  • 客観的な表現を使用


監査結果のフィードバックと是正措置

フォローアップ監査

是正措置が適切に実施されているか、フォローアップ監査を実施し、改善活動の有効性を確認します。


内部監査員の育成とスキル向上

監査員に求められるスキル

  • ISO 9001の知識

  • プロセス改善の知識

  • コミュニケーション能力

  • 分析能力


監査員のトレーニング方法

  • 外部研修の活用

  • OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

  • 監査員同士の意見交換会


内部監査のデジタル化と最新トレンド

リモート監査

リモート監査ツールを活用し、遠隔地の監査を実施する企業が増えています。オンライン会議システムやクラウドストレージを活用することで、監査の効率が向上します。

ご意見などお気軽にお寄せください

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