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内部監査コンサルティングの相場と選定方法について徹底解説。料金構造・支援範囲・企業比較まで網羅

更新日:4月16日

企業が求めるガバナンス体制の強化や、J-SOX・ISO等の規制対応の高度化に向け、外部専門家による内部監査コンサルティングの導入が進んでいます。本記事では、実務経験と専門知識を踏まえた視点から、コンサル導入時に不可避となる料金面の構造や選定基準を解説します。


目次

  1. 内部監査コンサルティングの概要と導入の背景

  2. サービス提供範囲と専門的機能

  3. 料金体系と費用算出の実務構造

  4. 料金に含まれる主なサービスと付随機能

  5. 契約時の注意点とコストコントロールの留意事項

  6. コンサルティング会社の選定基準と比較の視点

  7. コンサル費用相場と代表的な専門会社の紹介

  8. 成功するコンサル活用のための戦略的視点

  9. まとめ


内部監査コンサルティングの概要と導入の背景

内部監査コンサルティングとは、企業が保有する監査部門・内部統制機能に対して、外部の監査専門家が指導・支援・代行を提供するサービス群です。新設部門の立ち上げ、J-SOXやグループ統制の整備、海外子会社のリスクレビュー、ESG統制の仕組み作りなど、さまざまなシナリオで活用されます。


サービス提供範囲と専門的機能

コンサルティング会社が提供するサービスは以下のとおりです。

  • 監査ユニバースの策定とリスクベース監査への転換

  • 年間監査計画と各監査テーマの手続設計

  • システム監査、データ分析監査、フォレンジック監査等の導入

  • クロスボーダー監査対応、海外拠点レビュー支援

  • 改善報告書のドラフト、取締役会・監査等委員会向け報告資料作成


料金体系と費用算出の実務構造

A. 時間単価制(タイムチャージ型)

  • 単価:1時間あたり10,000円〜30,000円程度

  • 適用例:監査同行、レポートレビュー、定例会対応


B. パッケージ型定額制

  • 特定の支援範囲(監査3テーマ+報告書含む)に対して明示的に費用を設定

  • 契約期間:3ヶ月・半年・1年が一般的


C. プロジェクト別個別見積

  • 複数子会社の同時監査、テーマ特化型支援(BCP、ITGC等)

  • 成果物数・レビュー回数等により変動


料金に含まれる主なサービスと付随機能

項目

内容

含まれる業務

リスクアセスメント

初期設計、文書レビュー、ヒアリング支援

組織別・業務別リスク一覧作成

監査計画策定

年間計画/テーマ別レビュー設計

リソース計画、監査対象部門選定

現地監査対応

実査への同行/代行

ヒアリング、証憑突合、速報提供

報告資料作成

経営層向け報告書、改善案

実行計画含むロードマップ提示


契約時の注意点とコストコントロールの留意事項

1. 契約書での明示項目

契約書には、以下の項目を明確に記載することは必須事項です。以下の項目を明確にすることで、双方の認識のずれや、契約履行時のトラブルを予防しましょう。

  • 成果物の定義

    納品物の内容、形式、品質基準を具体的に記載します。

  • レビュー回数

    成果物のレビューや修正の回数を明示し、追加対応の範囲を限定します。

  • 契約期間

    契約の開始日と終了日を明確にし、自動更新の有無や更新手続きについても記載します。​


2. 想定外の追加工数が発生するタイミングの定義

プロジェクトの進行中に仕様変更や追加作業が発生することは多いです。​これに備え、以下の点を契約書に盛り込んでおくといいでしょう。

  • 追加作業の定義

    ​どのような変更が追加作業に該当するかを明確にします。

  • 追加費用の算定方法

    追加作業に対する報酬の計算方法や単価を定めます。

  • 変更手続き

    ​仕様変更時の手続きや承認フローを規定します。


3. 担当者変更、支援品質の担保(SLA)

プロジェクトの品質を維持するために、以下の点を契約書に含めることが望ましいです。

  • 担当者の指定と変更手続き

    担当者の氏名や役割を明記し、変更時の手続きを定めます。

  • サービスレベル合意(SLA)

    提供するサービスの品質基準や対応時間、稼働率などを具体的に記載します。

  • 品質保証措置

    SLAを満たさなかった場合の補償内容や対応策を明示します。​


4. 知見共有やドキュメント提供の範囲

プロジェクト完了後の知見共有やドキュメント提供について、以下の点を契約書に明記することが望ましいです。これにより、プロジェクト後の運用や保守が円滑に行えるようになります。​

  • 提供するドキュメントの種類

    マニュアル、設計書、運用手順書など、提供する資料を具体的に記載します。

  • 提供形式と納期

    電子データや紙媒体などの形式と、納品期限を定めます。

  • 知見共有の方法

    研修、ワークショップ、引継ぎ会議など、知見共有の手段を明示します。​



コンサルティング会社の選定基準と比較の視点

  • 組織の業種・規模と専門性の適合性(例:上場準備、製造業、金融等)

  • 実績・専門資格(CIA、CPA、CISA、CFE等)

  • 海外案件やグループ監査経験の有無

  • レスポンス力・柔軟性・言語対応(英文レポート等)

  • 成果物の品質と妥当性(過去のサンプル提示)


コンサル費用相場と代表的な専門会社の紹介

支援内容

相場(税別)

リスク評価+年間計画策定

20万〜50万円

テーマ別監査実施(1回)

15万〜30万円/回

報告書+経営層説明資料

10万〜20万円

顧問型契約(月額)

10万〜50万円

(※規模・業種により変動あり)


代表的企業一覧

  1. 株式会社ハイファイ

    • 強み: 中小企業から上場企業まで幅広い支援実績があり、柔軟な対応力と実務支援に定評があります。

    • 弱み: 大規模なグローバルプロジェクトへの対応力は限定的です。

    • 向いている企業: 内部監査体制の構築や改善を検討している中堅企業や、初めて内部監査体制を構築する企業。

    • 公式サイト: ​https://hifi.co.jp/

      株式会社ハイファイ

  2. アビームコンサルティング

    • 強み: 日本発のグローバルコンサルティングファームとして、各国事情に精通したコンサルタントが参画する“ハイブリッド体制”で、地域に密着した実現性の高い支援を提供しています。

    • 弱み: 中小企業向けのコストパフォーマンスは限定的です。

    • 向いている企業: グローバル展開を目指す大手企業や、多国籍企業。

    • 公式サイト:https://www.abeam.com/jp/ja/


  3. PwC Japan(あらた監査法人)

    • 強み: 内部監査の高度化やITリスク対応に強みを持ち、業種固有の専門性や最新のデジタルツールを導入することで、経営に付加価値のある内部監査を実現します。

    • 弱み: 高価格帯であり、予算に制約のある企業には不向きです。

    • 向いている企業: 上場企業、金融・インフラ等の規制業種。

    • 公式サイト: https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/assurance.html


  4. 株式会社リスクモンスター

    • 強み: 与信管理サービス事業の中核企業であり、独自に判定するRM格付の信頼性と、与信情報の提供にとどまらないサービスの総合力があります。

    • 弱み: メインの商材以外では競合が多く、システム投資ができる大企業が参入してきた場合に脅威となる可能性があります。

    • 向いている企業: J-SOX対応が必要な中堅〜中小企業。

    • 公式サイト: https://www.riskmonster.co.jp/


  5. 株式会社エス・エム・エスコンサルティング

    • 強み: 医療・介護・福祉施設の経営支援に特化し、介護保険制度などの最新動向、経営戦略、会計・税務に関する知識・実務・事例などを体系的に提供しています。

    • 弱み: 医療・福祉分野以外の対応力は限定的です。

    • 向いている企業: 医療法人、介護・福祉施設、保育園、一般企業など、医療・福祉分野に精通した支援を求める企業。

    • 公式サイト: https://ms-cpa.co.jp/


成功するコンサル活用のための戦略的視点

  • 業務分掌や内部通報制度との整合性確認

  • システム統制(ITGC)や業務統制の仕組み可視化

  • 既存体制の棚卸しと文書化レベルの点検

  • 中期経営計画との接続:監査結果を経営の意思決定に活用


まとめ

内部監査コンサルティングは、ガバナンスやリスクマネジメントの実効性を高める高度な経営ツールです。費用の妥当性だけでなく、成果物の質や自社戦略との親和性を重視し、適切な支援者と連携することで、監査部門の高度化と経営への価値貢献を実現しましょう。

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