製造業における内部監査の実務と最新動向。リスク対応と競争力強化のために等徹底解説!
- 敏行 鎌田
- 7月23日
- 読了時間: 5分
目次
製造業における内部監査とは
製造業で内部監査が重視される背景と目的
製造業の内部監査実務プロセス
製造業での内部監査チェックポイントと主要リスク
品質・安全・コンプライアンス監査の高度化
サプライチェーン監査とグローバル対応
デジタル監査(DX)・アジャイル監査の最新潮流
製造業における内部監査組織と人材要件
成功事例に学ぶ製造業内部監査の運用ポイント
おすすめの内部監査外注先企業
まとめ:製造業の持続的成長を支える内部監査
製造業における内部監査とは
製造業の内部監査は、会計や法令遵守のみならず、「製造プロセスそのものの品質」「工程リスク管理」「原価管理」「設備保全」など、事業活動全体の信頼性と効率性を担保するための組織内監査活動です。
特に製造業では、「品質」「安全」「環境」「サプライチェーン」の観点が不可欠となり、業務監査・IT監査・J-SOX対応監査など複層的なアプローチが求められます。
製造業で内部監査が重視される背景と目的
製品リコール・重大事故の予防 欠陥製品や労働災害、設備事故は企業の存続に関わるリスク。内部監査による早期発見・是正が不可欠です。
法令遵守・CSR(企業の社会的責任)対応 品質保証体制、環境規制、輸出入規制など多岐にわたる法令・基準への適合状況を確認します。
グローバル競争力の確保 ISO、IATF、食品安全、RoHS、REACH等、国際規格対応力を含めたグローバル監査の強化が必要です。
経営資源の最適化 工程ロス、不適切原価配分、不正会計など、経営の効率・透明性向上にも大きく寄与します。
製造業の内部監査実務プロセス
① 年間監査計画とリスクアセスメント
事業戦略やリスクマップに基づき、製造拠点・工程別・テーマ別に監査計画を策定します。FMEAや重大リスク分析など、現場ヒアリングも重視します。
② 監査実施
現場巡回・工程観察・記録検証・関係者ヒアリング・サンプル抽出など、多角的手法を組み合わせます。ライン監査では現場作業の「なぜ」「なにを」「どこで」を詳細に追跡し、不適合や異常値を抽出します。
③ 改善提言・フォローアップ
監査結果を基に、再発防止や恒久対策まで落とし込んだ改善提言を実施。是正処置・検証までPDCAサイクルで管理します。
製造業での内部監査チェックポイントと主要リスク
品質管理プロセス 不適合品の流出防止、検査漏れ、トレーサビリティ不備、変更管理の徹底。
生産管理・工程管理 工程逸脱、標準作業逸脱、設備保全不備、稼働率・歩留まりの異常。
原材料・購買管理 納入業者評価、偽装・不正混入防止、仕入管理の透明性。
安全衛生管理 作業標準違反、災害リスク未対応、緊急時対応訓練の実施状況。
会計・原価計算 不正経理、原価の過小・過大計上、在庫評価の正確性。
環境・法規制対応 廃棄物管理、排水・排ガス測定記録、各種許認可の有効性。
品質・安全・コンプライアンス監査の高度化
昨今、グローバル品質リコールや偽装問題への対応として、ISO9001やIATF16949など外部規格と連動した内部監査が必須です。また、食品・医薬品製造業ではGMP監査、化学業ではREACH・RoHS監査など、業界特有の規制遵守が求められます。さらに、反社会的勢力排除や海外腐敗防止(FCPA・UKBA)などのグローバルコンプライアンスも強化が進んでいます。
サプライチェーン監査とグローバル対応
部品・原材料の調達先が多国籍化するなか、サプライヤー監査の重要性が増しています。
調達元の品質・環境・労務管理
サプライチェーン全体のBCP(事業継続計画)体制
紛争鉱物・人権デューデリジェンスなどESG監査の拡大
グローバル拠点連携では、多言語対応、現地法規・規制遵守体制の監査手法も必須です。
デジタル監査(DX)・アジャイル監査の最新潮流
IoT・センサー連携によるリアルタイム監査
製造ラインデータをリアルタイム分析し、異常値を即時検知・通報。
RPA・AIを活用した監査自動化
会計データ・購買データの異常検出、工程管理データの自動分析など。
アジャイル監査
急速な工程・製品変化に合わせ、短サイクル・重点テーマで柔軟に監査計画を見直す仕組み。

製造業における内部監査組織と人材要件
監査部門の独立性 本部直轄または経営層直轄で設置し、各拠点・部門への牽制機能を持たせることが重要。
専門性の高い人材 品質管理、工程管理、法務、IT、語学力など多様なスキルセットを有する人材を配置。
継続的な教育・研修 業界トレンド、規制改正、デジタル技術への継続的キャッチアップを実施。
成功事例に学ぶ製造業内部監査の運用ポイント
経営層が監査結果を経営課題と直結させている企業は、是正率・再発防止率が高い
監査指摘事項を「現場の負担」ではなく「プロセス革新の機会」と捉える風土形成
IT活用・多拠点遠隔監査・データ監査による監査効率化・精度向上の取り組み
サプライヤー監査を共同化し、調達リスク・品質リスクを統合的に管理
おすすめの内部監査外注先企業
以下に、内部監査の外注を検討する際に参考となる企業をご紹介します。
1. 株式会社ハイファイ
大手から中小企業まで幅広い実績のあるコンサルティング会社。大手コンサルティング企業から転職してきたメンバーが核で構成されている小規模の会社というのが特徴で、案件担当者が決断権を持ち、柔軟に案件に合わせたスピーディーな対応が強みになっています。大手コンサルティング企業と比較すると対応範囲は狭くなりますが、安く内部監査を依頼することが可能です。
2. Exe.Forum株式会社
公認内部監査人(CIA)資格を持つプロフェッショナルが、国内外の拠点における業務監査やテーマ別監査を代行・支援しています。監査計画の策定からフォローアップ監査まで、一連の業務をサポートしています。
3. 小田公認会計士事務所
内部監査のアウトソーシングを主な業務としており、実務経験豊富な公認会計士が監査業務をサポートしています。内部監査担当者の採用に関する問題解決や、監査費用の予算化を支援しています。
まとめ:製造業の持続的成長を支える内部監査
製造業における内部監査は、単なる不正・不備発見のツールにとどまらず、「品質・安全・収益性・ガバナンス」全体を支える経営インフラです。複雑化するリスク環境と規制要求に適応するためには、現場密着とDX活用、高度な専門性を両立させた監査体制が不可欠です。内部監査を企業価値向上の戦略的機能として位置づけ、全社的な持続的成長を実現していきましょう。







