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内部監査のスキルマトリクスとは?【2025年IIA最新版・Excelテンプレ付き】

内部監査のスキルマトリクスは、監査人・監査部門の保有スキル×目標スキル体系的に見える化し、育成・採用・コソーシングの意思決定につなげる道具です。IIAは2025年に「Internal Auditing Competency Framework」を刷新し、4領域・28サブカテゴリと4段階の熟達度(基礎/応用/上級/エキスパート)で評価・運用する実務ガイドとテンプレの枠組みを示しました。本フレームは2024年版のGlobal Internal Audit Standardsに整合し、品質評価(EQA)は2025/1/9以降新基準に基づいて実施されます。


スキルマトリクスとは

  • 個人の育成計画:自己評価→上長レビュー→合意→次期アクション

  • 部門の人員計画:足りないスキルを研修/採用/外部活用で補完

  • 監査計画と連動:案件ごとに必要スキルを割り当て、チーム編成を最適化

  • 品質保証(QAIP)・EQAの証跡:スキル管理の仕組みそのものが基準適合のエビデンスになる。


スキルマトリクスの階層

IIA最新版に準拠した「4領域・28サブカテゴリ」

IIAのInternal Auditing Competency Frameworkは、以下の4領域合計28サブカテゴリで構成されます。


A. 内部監査コンピテンシー

  • IPPF(国際内部監査専門実務フレームワーク)/倫理・プロフェッショナリズム/QAIP/監査方法論/統合・協調的アシュアランス/結果報告


B. プロフェッショナル能力(汎用)

  • リーダーシップ/プロフェッショナル・コミュニケーション/交渉・コンフリクトマネジメント/データ分析/プロジェクトマネジメント


C. ガバナンス&リスク管理

  • ガバナンス/戦略/ERM/コンプライアンス/不正/組織レジリエンス/サステナビリティ


D. オペレーション領域(業務ドメイン)

  • 会計/CRM/サイバーセキュリティ/財務/人事/IT/マーケティング/営業/サプライチェーン/その他重要領域


4段階の熟達度(レベル定義)

IIAは各サブカテゴリを4段階で定義します。実務ではこのレベルをマトリクスに採用します(括弧は要旨)。


  1. 基礎(Basic):概念を理解(適用経験は限定的)

  2. 応用(Intermediate):知識・スキルを一定範囲で適用(単独主担当はまだ)

  3. 上級(Advanced):監査/助言を主導・監督できる

  4. エキスパート(Expert):深い洞察と先見性、信頼できる助言者模範


設計手順(最短5ステップ)

Step 1|評価軸の定義上記28サブカテゴリ×4段階をベースに、自社の優先領域(重要プロセスやKPI)を反映して重み付けを決める。


Step 2|個人の自己評価→上長レビューIIAが示す個人評価テンプレ(A3)の考え方に沿い、自己評価→上長が証跡に基づき見直して合意。前回からの進捗欄を設ける。


Step 3|部門の集計(コレクティブ)集計テンプレ(A4)の考え方で、部門の現状→目標→アクションを記録。**ギャップに応じて研修、採用、コソーシング(外部活用)**を組み合わせる。


Step 4|案件必要スキルの特定→チーム編成案件のリスク・目的・スコープに照らして必要スキルを洗い出し、補完的な組合せで編成。足りない場合は作業プログラムの調整も選択肢。


Step 5|QAIP・EQAへの接続人材・リソース管理(Standard 10.2)コミュニケーション(Principle 11)/品質確保(Principle 12)の実装証跡として運用し、EQA(2025/1/9〜)に備える。


5. 役割別ターゲット例(抜粋)

  • スタッフ監査人:内部監査コンピテンシーは応用、データ分析は応用、ガバナンス&リスクは基礎

  • シニア:内部監査・プロフェ能力は上級中心、ガバナンス&リスクは応用上級

  • マネージャー:監査方法論/QAIP/コミュニケーション上級、ガバナンス&リスク上級

  • CAE:倫理/QAIP/ガバナンス/戦略はエキスパート、その他は上級以上(※部門規模・業種で調整)(IIAは役割プロファイルの使い方を示しており、自己評価×上長フィードバックで目標整合を図る運用を推奨しています。)


運用KPI(ダッシュボード例)

  • 目標到達率:実績≧目標のサブカテゴリ割合

  • クリティカル領域のカバレッジ:サイバー/不正/ERMの上級以上人数

  • ギャップ解消リードタイム:目標設定→到達までの期間

  • 総合スコア:重み×レベルで集計(四半期レビュー)


失敗しがちなポイント

  • 職名=スキルと誤解(スタッフでもエキスパート領域があり得る)

  • 静的運用(ITやサイバーは陳腐化が速い→継続教育と計画的ローテ)

  • 案件要件と未連動(必要スキルの特定→編成→プログラム調整まで一連で)



IIA公式との関係(準拠・整合)

  • フレーム:IIAの4領域・28サブカテゴリ4段階熟達度に準拠。

  • 基準Global Internal Audit Standardsに整合。標準は現在全面適用中EQAは2025/1/9〜

  • テンプレ:IIAは会員向けにテンプレを提供。本稿では無償の簡易版を用意。


内部監査スキルマトリクステンプレート(Excel)

Excelテンプレ(4シート)

Skill_Matrix:28サブカテゴリ×メンバーの現状/目標/ギャップ

Role_Profiles:スタッフ/シニア/マネージャー/CAEの目標レベル例

Proficiency_Scale:4段階レベル定義

Instructions:使い方と推奨KPI


よくある質問(FAQ)

Q1. 監査テーマごとに必要スキルが違います。どう反映?

A. 監査計画・作業プログラムに案件必要スキルを紐づけ、マトリクスでアサイン/補完(研修・外部活用)を決めます。


Q2. 小さい部門で全スキルを内製できません。

A. IIAは採用・研修・コソーシング(外部活用)の組合せで集団としての熟達度を高める運用を示しています。


Q3. EQAの観点では何がポイント?

A. 人材・資源管理(10.2)品質確保(12.1/12.2)などに具体の証跡(評価表、集計表、育成計画)を残すことです。

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