内部監査1年目の教科書。内部監査って何から始めればいい?
「そろそろうちの会社にも内部監査が必要ではないか」。会社の成長、上場の検討、子会社の増加、あるいは社内で起きたトラブルをきっかけに、こう考え始めた方に向けた教科書です。
内部監査について調べ始めると、基準、規程、監査計画、調書、報告書と、聞き慣れない言葉が次々に出てきます。何から手をつければよいのか、1年目にどこまでやればよいのか、全体像がつかみにくいのが最初の壁です。
この教科書では、内部監査の発足を考え始めた段階から、最初の1年を終えて2年目に引き継ぐまでを、10の章に分けて解説します。経営者や管理部門の責任者の方は発足の判断材料として、担当に任命される予定の方は1年間の進め方の地図として使ってください。各章のテーマをさらに深く知りたい場合は、章末で紹介する関連記事を参照してください。
この教科書の全体像
章 | テーマ | この章で分かること |
第1章 | 内部監査の基本 | 内部監査の目的、3つのラインモデル、ほかの監査との違い |
第2章 | 発足のタイミング | 内部監査を検討すべき会社のサイン |
第3章 | 発足前に決めること | 目的、報告先、担当者、範囲、予算 |
第4章 | 1年目のゴール | 目指す水準と、1年目にやらなくてよいこと |
第5章 | 1年間のロードマップ | 四半期ごとのやることと成果物 |
第6章 | 最初の監査 | テーマの選び方、社内への周知、報告書の見本 |
第7章 | そろえる文書 | 1年目に必要な文書の最低限のセット |
第8章 | 成果の測り方 | 1年目の取り組みを評価する指標 |
第9章 | 1年目の壁 | つまずきやすい場面と乗り越え方 |
第10章 | 2年目への引き継ぎ | 1年目の終わりにやっておくこと |
第1章:内部監査の基本を押さえる
内部監査は何のためにあるのか
内部監査は、会社の業務やリスク管理、ガバナンスの仕組みが有効に機能しているかを、業務を行う部門から独立した立場で評価し、改善を提案する活動です。内部監査人の国際団体であるIIA(内部監査人協会)が定め、2025年1月から適用されているグローバル内部監査基準は、内部監査の目的を、取締役会と経営陣に独立かつ客観的なアシュアランス(保証)、助言、洞察などを提供することで、組織が価値を生み出し、守り、維持する力を高めること、という趣旨で示しています。
ポイントは、内部監査の役割が「ミスや不正を見つけること」にとどまらない点です。問題の芽を早く見つけ、仕組みを改善し、会社の成長を支えることが本来の役割です。
3つのラインモデルで位置づけを理解する
内部監査の位置づけを理解するには、IIAが2020年7月に公表した「3つのラインモデル」が役立ちます。
第1ライン:営業、製造、購買など、事業を推進しながら日々のリスクを管理する部門
第2ライン:リスク管理、コンプライアンス、経理などの管理部門。第1ラインのリスク管理を支援し、検証する
第3ライン:内部監査。第1・第2ラインから独立した立場で、アシュアランスと助言を提供し、取締役会などの統治機関に報告する
内部監査は、業務を行う部門やルールを作る管理部門とは別の立場から、仕組みが機能しているかを評価します。この独立性が、内部監査の価値の源泉になります。
監査役監査・会計監査との違い
日本の会社には、内部監査のほかに監査役等による監査と、会計監査人(監査法人など)による会計監査があり、あわせて「三様監査」と呼ばれます。
監査の種類 | 担い手 | 主な目的 |
内部監査 | 社内の内部監査部門 | 業務全般の有効性・効率性やルールの遵守状況を評価し、改善を提案する |
監査役等による監査 | 監査役・監査等委員・監査委員 | 取締役の職務の執行を監査する |
会計監査 | 会計監査人(公認会計士・監査法人) | 財務諸表が適正に作成されているかについて意見を表明する |
3つの監査は役割が異なるため、どれかがあれば他が不要になるわけではありません。発足後は、監査役等・会計監査人と情報を共有し、連携することが大切です。
第2章:内部監査の発足を検討すべきタイミング
内部監査の発足に「従業員が何人になったら」という決まった基準はありません。一般の事業会社には、内部監査部門の設置そのものを義務づける法律の規定もありません。それでも、次のようなサインが出てきたら、発足を具体的に検討する時期です。
株式上場(IPO)を検討し始めた
子会社や拠点が増え、経営者が現場を直接見渡せなくなった
同じミスやルール違反が繰り返し起きている
親会社、監査法人、金融機関、主要な取引先から、管理体制の整備を求められた
M&Aや組織再編で、異なるルールや文化を持つ組織が一緒になった
不正やトラブルが発覚し、再発防止の仕組みが必要になった
IPOを目指す場合は、時間の制約に注意が必要です。日本公認会計士協会のIPOガイドブックでは、直前々期(N-2期)には管理体制の整備・運用の段階に入り、直前期(N-1期)の期首からは上場会社と同様の管理体制を運用していることが想定されています。内部監査は運用の実績が問われるため、上場の時期から逆算して早めに動き出す必要があります。
データの面からも、内部監査を持つ意味は確認できます。公認不正検査士協会(ACFE)の2026年版の報告書によると、不正の被害を受けた組織に内部監査部門があった事例では、なかった事例に比べて損失額の中央値が約33%小さく、発覚までの期間も短くなっていました。
第3章:発足前に決めておく5つのこと
1. 何のための内部監査か(目的と期待)
最初に決めるべきなのは、会社が内部監査に何を期待するかです。不正やルール違反の防止なのか、上場に向けた体制づくりなのか、子会社管理の強化なのか。経営者、取締役、監査役等の期待を確認し、優先順位をつけて文章にします。金融庁の「金融機関の内部監査高度化に関する懇談会」の報告書(2025年6月)も、経営陣に対して、内部監査部門に何を求めるかを自社の事業の状況を踏まえて明確にすることを求めています。
2. 誰に報告するか(位置づけと報告先)
内部監査部門は、監査の対象となる部門から独立した位置に置きます。日本企業では社長直轄が一般的ですが、それに加えて取締役会や監査役等にも直接報告する仕組みをつくっておくと、経営陣が関わる領域にも踏み込みやすくなります。コーポレートガバナンス・コードの補充原則4-13③も、内部監査部門が取締役会・監査役会に対しても適切に直接報告を行う仕組みの構築を求めています。
3. 誰がやるか(担当者と体制)
選択肢は大きく、専任者を置く、他の業務との兼任で始める、外部の専門家に委託する、の3つです。組み合わせることもできます。兼任で始める場合は、自分の担当業務を自分で監査する「自己監査」にならないよう、担当者の所属部門は別の担当者が監査するといった手当てが必要です。担当者には、社内の業務を幅広く理解していること、経営者と率直に話せること、相手の立場を尊重しながら事実を確かめられることが求められます。
4. どこまでやるか(1年目の範囲)
1年目から全部門・全テーマを監査しようとすると、ほぼ確実に計画倒れになります。リスクの大きい領域と、経営者の関心が強い領域を中心に、確実に終えられる件数に絞りましょう。
5. いくらかけるか(予算)
内部監査にかかる費用は、主に次の4つです。
人件費(専任者・兼任者の工数)
外部専門家への委託費(コソースやアウトソースを使う場合)
研修・資格取得の費用
ツール費(監査管理ツールやデータ分析ツールを使う場合)
費用の規模は、監査対象の数と頻度、外部に任せる範囲によって大きく変わります。監査対象の数と1件あたりの工数から必要な人員を見積もる方法は、「内部監査部門の立ち上げ方」の記事で試算例とともに紹介しています。
第4章:1年目のゴールを決める
内部監査の4つの発展段階
1年目にどこを目指すかを考えるときに参考になるのが、金融庁が2019年に示し、2025年の報告書で再整理した内部監査の発展段階です。金融機関向けに示されたものですが、懇談会は一般事業会社も活用できる目線の提供も目的の一つに掲げており、内部監査の成熟度を考える物差しとして使えます。
段階 | 名称 | 内容(要旨) |
第一段階 | 事務不備監査 | 規程や事務ルールに沿って業務が行われているかを検証する |
第二段階 | リスクベース監査 | リスク評価に基づき、ルールの運用だけでなく、ルール自体の妥当性も検証する |
第三段階 | 経営監査 | 経営戦略を踏まえて組織横断的に検証し、課題の真因を明らかにして提言する |
第四段階 | 信頼されるアドバイザー | 組織全体から信頼されて助言を求められ、企業価値の継続的な向上に貢献する |
2025年の報告書は、上位の段階に進むこと自体が目的ではなく、下位の段階の取り組みも続けながら積み上げていく「加算方式」であるとしています。
1年目の現実的な目標は、第一段階の監査を確実に回しながら、監査計画は最初から第二段階のリスクベースの考え方で立てることです。ルールどおりに業務が行われているかの確認は監査の土台です。そこを固めたうえで、どの領域を優先するかをリスクで決める習慣を1年目からつけておくと、2年目以降の発展がスムーズになります。
1年目のゴールの例
1年目の終わりに、次の状態になっていれば合格点です。
内部監査規程が承認され、社内に周知されている
リスク評価に基づく年間監査計画が承認され、計画した監査をおおむね完了している
すべての指摘事項について、改善計画の提出と改善状況の確認(フォローアップ)を行っている
監査結果を、経営者だけでなく取締役会・監査役等にも定期的に報告している
1年目の振り返りをもとに、2年目の監査計画ができている
1年目にやらなくてよいこと
1年目は、背伸びをしないことも大切です。次のことは、2年目以降に回して構いません。
全部門・全拠点を1年で回り切ること(中期の監査計画で計画的にカバーする)
高度なデータ分析ツールや監査管理システムの導入(まずは表計算ソフトと共有フォルダで十分)
完璧な監査マニュアルの作成(最初の監査で使いながら改善する)
指摘件数の目標設定(件数を目標にすると、形式的な指摘が増える)
外部品質評価の受審(グローバル内部監査基準では少なくとも5年に1回。1年目は自己評価から始める)
第5章:1年間のロードマップ
1年目を四半期に分けると、やることの見通しが立てやすくなります。
第1四半期:土台をつくる
経営者、取締役会、監査役等へのヒアリングで、期待と優先順位を確認する
社内の既存の点検・監査活動(品質監査、ISO内部監査、店舗の巡回点検など)を棚卸しする
内部監査規程を作成し、承認を得る
社内に内部監査の発足を周知する
成果物:ヒアリング記録、内部監査規程、社内周知文
第2四半期:計画を立て、最初の監査を行う
監査の対象になり得る部門・業務の一覧(監査ユニバース)をつくり、リスクを評価する
年間監査計画を策定し、承認を得る
最初の監査(1〜2件)を、予備調査から報告・改善計画の受領まで通しで行う
成果物:監査ユニバースとリスク評価表、年間監査計画、最初の監査の調書と報告書
第3四半期:本格的に回す
年間監査計画に沿って監査を順次実施する
最初の監査の指摘について、改善状況を確認する
監査役等・会計監査人と情報交換の場を持つ
経営者・取締役会等に、上半期の結果と進捗を報告する
成果物:各監査の調書と報告書、フォローアップ台帳、中間報告
第4四半期:振り返り、2年目の準備をする
1年間の監査結果と改善状況をまとめ、年度の総括報告を行う
1年目の活動を自己評価し、規程・様式・進め方を見直す
リスク評価を更新し、2年目の監査計画を策定する
成果物:年度総括報告、自己評価の結果、2年目の監査計画
月単位の詳しいスケジュール例は、「内部監査部門の立ち上げ方」の記事で紹介しています。
第6章:最初の監査を成功させる
テーマ選びの3つの条件
最初の監査は、その後の内部監査部門の評判を左右します。次の3つの条件を満たすテーマを選ぶのが定石です。
協力が得やすい:監査を受ける部門の責任者が前向きで、資料やデータが入手しやすい
業務が標準的:手順が決まっており、規程やマニュアルと照らし合わせて確認しやすい
経営者の関心につながる:結果を報告したときに、経営者が内部監査の価値を実感しやすい
これらを満たしやすいテーマの例として、経費精算、購買(発注から支払まで)、備品や固定資産の管理、システムのアクセス権限の管理、契約書の管理などがあります。
社内への周知文の例
内部監査の発足は、経営者の名前で社内に周知するのが効果的です。周知文の例を示します。
件名:内部監査室の設置について 当社は、業務の適正性と効率性を高め、会社の健全な成長を支える仕組みとして、社長直轄の内部監査室を設置しました。内部監査室は、各部門の業務がルールに沿って行われているか、リスクに見合った管理ができているかを独立した立場で確認し、改善の提案を行います。内部監査は個人の責任を追及するためのものではなく、仕組みの改善を目的としています。監査の際は、事前に日程と依頼資料をお知らせします。資料の提供やヒアリングへのご協力をお願いします。
最初の監査報告書の見本
最初の報告書は、簡潔で読みやすいことを優先します。経費精算の監査を例に、骨格を示します(数値は架空の例です)。
監査名・対象:経費精算業務の監査(本社・営業部門、対象期間は直近3か月)
総合評価:経費精算の手続はおおむね有効に運用されている。ただし、承認手続に改善を要する事項がある
指摘事項(重要度:中)
あるべき姿:経費精算規程では、5万円以上の交際費に事前申請が必要とされている
現状:対象期間の交際費120件のうち、5万円以上の18件中4件で事前申請が確認できなかった
原因:経費精算システムに事前申請の有無を確認する仕組みがなく、承認者の目視に頼っている
影響:支出の目的や金額の妥当性を事前に確認できず、不適切な支出を防げないおそれがある
改善提案:システム上で事前申請番号の入力を必須にする
監査対象部門の回答:システムを改修する(担当:経理部、期限:〇月末)
指摘は「あるべき姿・現状・原因・影響」の4つの要素で書き、原因を担当者個人ではなく仕組みに求めるのが基本です。
第7章:1年目にそろえる文書
1年目に必要な文書の最低限のセットです。最初から完璧である必要はなく、1年間使いながら改善していきます。
文書 | 目的 | 1年目の完成度の目安 |
内部監査規程 | 内部監査の目的・権限・報告先を定める | 承認済みであること(最重要) |
年間監査計画 | 監査の対象・時期・担当を決める | 承認済みで、リスク評価の根拠があること |
監査通知書・資料依頼リスト | 監査対象部門に日程と依頼事項を伝える | 簡易な様式で可 |
監査手続書(監査プログラム) | 確認する項目と方法を決める | 監査ごとに作成 |
監査調書 | 実施した手続と証拠、結論を記録する | 結論と証拠のつながりが追えること |
監査報告書 | 結果を経営者・取締役会等に伝える | 様式を統一 |
改善計画書 | 監査対象部門が改善策と期限を示す | 様式を統一 |
フォローアップ台帳 | 指摘事項の改善状況を管理する | すべての指摘を一元管理 |
年度総括報告 | 1年間の結果と次年度の方針をまとめる | 年度末に作成 |
なかでも内部監査規程は、内部監査人が資料の提出や改善計画の提出を求める根拠になる文書です。グローバル内部監査基準も基準6.2(内部監査基本規程)で、内部監査の目的や権限、報告関係などを規程で明確にし、取締役会の承認を得ることを求めています。
第8章:1年目の成果を測る
内部監査の成果は、売上のように数字で見えにくいものです。だからこそ、1年目から成果を測る指標を決めておくと、経営者への説明がしやすくなります。グローバル内部監査基準も基準12.2(パフォーマンスの測定)で、内部監査部門の成果を測る仕組みを求めています。1年目は、次のような指標から始めるとよいでしょう。
計画達成率:承認された年間監査計画のうち、完了した監査の割合
改善完了率:期限が到来した指摘事項のうち、改善が完了した割合
報告までの日数:往査の終了から報告書の確定までにかかった日数
監査対象部門の評価:監査後のアンケートでの満足度や意見
報告の実績:経営者、取締役会、監査役等への報告の回数
指摘件数を成果の指標にしないことも大切です。件数を追うと形式的な指摘が増え、現場の負担と反発が大きくなります。
第9章:1年目にぶつかりやすい壁と乗り越え方
現場が警戒して協力してくれない
内部監査が始まると、現場は「何を探されるのか」と身構えがちです。監査の目的が仕組みの改善にあることを周知文や監査の冒頭で伝え、最初の監査で現場の役に立つ提案をすることが、信頼を得る近道です。
人手が足りず計画が遅れる
1年目は、規程づくりや様式の整備にも時間を取られます。計画件数は余裕を持って設定し、遅れが見えたら早めに経営者と優先順位を相談しましょう。専門性が必要な領域は、外部専門家の力を借りる方法もあります。
経営者の関心が薄れる
発足時は熱心だった経営者も、日々の業務に追われると内部監査への関心が薄れがちです。定期報告の場をあらかじめ年間の予定に組み込み、監査結果を経営者の関心事と結びつけて報告することで、関心をつなぎとめます。
指摘が出ない、または出すぎる
指摘が出ないときは、監査の範囲や手続が浅すぎないかを点検します。指摘が多すぎるときは重要度で絞り込み、軽微なものは口頭での助言にとどめます。
何でも頼まれる
内部監査部門は社内の業務に詳しくなるため、調査や業務改善の実務、規程づくりの代行などを頼まれやすくなります。引き受けすぎると、自分が関わった仕組みを自分で監査することになり、独立性が損なわれます。助言として引き受ける範囲を、規程や年間計画で決めておきましょう。
(関連記事:内部監査の危険性)
第10章:2年目に向けて引き継ぐもの
1年目の終わりには、次のものを2年目に引き継げる状態にしておきます。
年度総括報告:1年間の監査結果、改善状況、見えてきた全社的な課題
更新したリスク評価と2年目の監査計画:1年目に監査できなかった領域や、新たに見えたリスクを反映する
中期の監査計画:全部門・全拠点を3〜4年で一巡する見通し
改善した規程・様式・手順:1年間使って分かった改善点を反映した版
人材育成の計画:監査担当者の研修や資格取得の計画
2年目は、1年目につくった型を回しながら、データの活用やテーマ別の監査など、少しずつ監査の幅を広げていく段階です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 小さな会社でも内部監査は必要ですか?
A. 法律上の設置義務はないため、規模の小さな会社では必須ではありません。ただし、上場を目指す場合や、拠点・子会社が増えて経営者の目が届かなくなってきた場合は、早めに検討する価値があります。専任者を置くのが難しければ、兼任や外部委託から始める方法もあります。
Q2. 内部監査の担当者には、どんな人が向いていますか?
A. 社内の業務を幅広く理解している人、相手の立場を尊重しながら事実を確かめられる人、経営者に対しても率直に意見を伝えられる人が向いています。監査の経験がなくても、研修や資格の学習で知識を補いながら、実務を通じて身につけることができます。
Q3. 最初は外部に委託してもよいですか?
A. 可能です。ただし、監査計画の承認、結果の報告、改善のフォローアップの主体は社内に残し、社内に責任者を置くことをおすすめします。外部の専門家と一緒に監査を行いながらノウハウを社内に蓄積していく方法(コソース)は、1年目に特に有効です。
Q4. 1年目に勉強しておくべきことは何ですか?
A. まずは、内部監査の基準(IIAのグローバル内部監査基準や、日本内部監査協会の内部監査基準など)の全体像と、自社の業務や規程の理解です。そのうえで、監査の進め方、調書や報告書の書き方を実務の中で身につけていきます。体系的に学びたい場合は、CIA(公認内部監査人)などの資格の学習も役立ちます。
Q5. 監査役や会計監査人とは、1年目にどう関わればよいですか?
A. 発足の段階で、内部監査の目的と年間計画を共有し、定期的に情報交換する場を設けておくのが理想です。監査の重複を避けられるだけでなく、それぞれが把握しているリスクの情報を共有することで、監査の質も高まります。
まとめ:1年目のチェックリスト
最後に、この教科書の内容を1年目のチェックリストにまとめます。
内部監査に何を期待するかを、経営者・取締役会・監査役等と確認した
内部監査部門の位置づけと報告先(取締役会・監査役等への直接報告を含む)を決めた
担当者と体制を決め、兼任の場合は自己監査を避ける手当てをした
内部監査規程を作成し、承認を得て社内に周知した
リスク評価に基づく年間監査計画を立て、承認を得た
最初の監査を、予備調査から報告・改善計画の受領まで通しで行った
すべての指摘事項の改善状況をフォローアップした
成果を測る指標を決め、1年間の結果を振り返った
年度の総括報告を行い、2年目の監査計画を立てた
内部監査の1年目は、型をつくる年です。小さく始めて確実に回し、2年目に改善する。この教科書を手元に置いて、最初の1年を進めてください。



